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Das Sommerhaus 夏のあずまやで

ドイツ映画 (2014)

ヤスパー・フッド(Jaspar Fuld)が主演する一種のサスペンス映画。小児性愛映画とも取れるが、全体の流れ、控え目で象徴的な映像からは、小児性愛という題材をベースにしつつ、逆に被害者側が加害者となり、最後に思わぬ結末を迎えるサスペンス映画と捉えた方がいいであろう。モントリオール世界映画祭ワールド・コンペティション部門(グランプリ候補)に選ばれている。成人の性的描写はあるが、その他の不愉快な描写は一切ない。

映画は、成功した建築家マーコスと、ビジネス・パートナーの12歳の息子ヨハネスとの 「関係」 と、マーコスの複雑な家庭生活を交互に描きながら進行する。マーコスはゲイで、妻との間に12歳のエリザベスという娘はあるものの、妻との性生活はなく、そのお陰で妻は精神的に破綻寸前の状態。一方、ヨハネスの父は、海外での建設プロジェクトに対し税務当局から追徴課税を要求され、破産すら視野に入っている。パートナーのマーコスからある程度の資金援助を得たため、息子のヨハネスに、マーコスの娘のエリザベスを訪ねて仲良くするよう勧める。時期は、ちょうど夏休みだ。父の経済的危機を知ったヨハネスは、クラスメイトでもあるエリザベスを自宅に訪ねるが、その時、たまたま在宅してマーコスが、ハンサムなヨハネスに目を留める。そして、娘が席を立った際、自宅から離れた場所にある庭のあずまやで、エリザベスと一緒にバーベキューをやるから来ないかと誘う。父の要請にも沿っているので快諾するヨハネス。ところが、日曜に行ってみると、マーコスしかいない。そして、エリザベスは急に来られなくなったと告げられる。来週やり直そうと言われ、次に訪れてもマーコスだけ。3度目、Tシャツを脱ぐように頼まれ、4度目に横になっている時に首にキスされ、どんな人物か察しがついてくる。それを逆手に取り、父の経済的苦境を救おうと、マーコスを小児虐待で脅そうと考え始めたヨハネス。自分は被害を受けないよう、情報を集め、マーコスの自宅に乗り込んで妻とエリザベスの前で告発し、大金を要求する(父が必要としている額)。それを聞いてエリザベスが最後に取った戦慄の行動とは?

ヤスパー・フッドは12才くらいの、ハンサムな男の子。2年前の『Gib mir noch ein Jahr(あと1年待って)』〔DVD未発売〕では可愛い男の子だったが、2年経って、こんな役もやれるようになったのかと思わせる。あらすじでは、台詞が結構重要なので、少しくどいと思ったが、なるべく多くの台詞を紹介した。英語字幕しかなく、ドイツ語字幕が存在しないので、一部不安な箇所もあるが〔「shorts」は、イギリス英語では半ズボン、アメリカ英語ではパンツ〕。


あらすじ

建築家マーコスが、現場の視察に来ていると、携帯に着信がある。仕事上付き合いのあるクリストファーからだ。家を訪ねると、そこには、普段背広など着ないクリストファーが深刻な顔で待っている。「いったいどうしたんだ? 大丈夫か?」との問いに、「実は困った事態に。税務署から、通知を受けた。滞納税を払うべきだと」と話し始める。海外のプロジェククトでの利益に対し、支払うべき税金を払っていなかったのだ。即刻納入を求められた金額は138000ユーロ。映画公開時点での為替レートで1800万円ほどだ。ドイツの中流上層階級のビジネスマンが真っ青になるほどの額とは思えないが、銀行に行ったが貸し付けや融資を断られた様子で、動転している。マーコスが「俺が用立てるよ、債権の一部だが。一部だ、全部じゃない。幾らとは言えないが、一部は払える」と慰める(1枚目の写真)。父の話を、別室にいて耳にはさんでしまい、心配そうな表情のヨハネス(2枚目の写真)。マーコスが帰ってから、父が部屋にやって来る。「事業がどうかしたの?」。「大失敗だ」。「最悪?」。「そうだ」(3枚目の写真)。そして、ヨハネスに、「エリザベスを覚えてる?」と訊く。「同じクラスだよ」。「ああ、そうだったな。いい子なんだろ? 親しくなれ。訪ねるんだ」。うなずくヨハネス。父の窮状を助けられるなら、と思ったのだ。
  
  
  

次のシーン。マーコスがエリザベスを車に乗せている。ある場所で車を停めると、マーコスは「仕事仲間と至急連絡がある。数分だ」と言って(1枚目の写真)、娘を待たせて車を降りる。そして向かった先は、ゲイ友のアパート。時間が限られているので、さっそくキスし(2枚目の写真)、行為に及ぶ2人。車に戻って来たマーコス。「終わったよ。ちょっと長かったな。じゃあ、家に帰ろうか」。娘を車で待たせておいて、このようなことをするとは、あまりにも倫理観がなさすぎる。
  
  

父の依頼に応え、さっそくエリザベスの家を訪れたヨハネス。仲良く夏休みの宿題をする。エリザベスも、ハンサムなヨハネスにある程度 興味を持っている。「ローラとつき合ってる?」。「誰が言った?」。「彼女よ。どこでも 言ってるわ」。「ローラは タイプじゃない」。そして、ヨハネスかた化粧はするのと訊かれ、「ううん、たまにだけ」。「今は?」。「してない。した方がいい?」。「何を?」。「お化粧」。「したいなら」。それを聞いて洗面台に向かうエリザベス。やはり気があるのだ。実はその間、奥にはマーコスがいて、ちらちらとヨハネスを見ていた(1枚目の写真)。そして、娘が席を立ったのを幸い、近づいてきて、「やあ、宿題の方はどう?」と声をかける。「進んでます」。「泳いでも いいぞ」。「あまり 泳ぎたくは…」。「日曜に、バーベキューをやるんだ。庭のあずまやで」。「誰が来ます?」。「エリザベスと妻と私だ。来たいかい?」。「すごいや。喜んで来ます」(2枚目の写真)。父に協力しようと、必死なのだ。ちなみに、庭のあずまやは、今2人のいる自宅とはかなり離れた場所にある。「じゃあ、日曜に。5時だ」。次に、ヨハネスの父クリストファーに会った時、マーコスは、「また、寄こしてくれないか。エリザベスが喜んでる」と頼む。父の方は、望み通りなので、「もちろん」。
  
  

エリザベスと母が庭での作業を終わり、家に引き上げてから、マーコスがヨハネスを伴って庭に入ってくる。あずまやで座り、周りを見回しても誰もいないので(1枚目の写真)、「エリザベスは どこ?」と訊く。それには答えず、「何か飲むかい?」とマーコス。「ううん」。ヨハネスの顔にひたと据えられた目が怖い(2枚目の写真)。「バーベキューはどうなるの? エリザベスは?」。「後で 来るよ」。そして話題を逸らす。ヨハネスがトイレに行って戻る。まだ誰もいない。「エリザベスは いつ来るの?」。「今、電話があった。来られないって。まだ、母親と一緒にいる」。「じゃあ、バーベキューできないね」(3枚目の写真)。「週末に やり直すこともできる。エリザベスも来るさ」。「そうだね」。2人が、こう話している間、自宅では、エリザベスと母が娘の髪をきれいにセットしている。2人の会話はすべて英語。後で理由は明かされるが、中学はイギリスに交換留学に行くため、ずっと英語の練習をしているのだ。
  
  
  

別な日、庭でエリザベスが日光浴をしていると、マーコスは自宅にいる妻に電話をかけ、「庭に出てきて、エリザベスの相手をしてくれ」と頼む。そして、「建設現場に戻らないと」と嘘をつく。それが済むと、「1時間で、来れるか? ウチだ。じゃあ、後で」と別の電話をかける。妻が庭に行き、自宅が空くと、そこにやってきたのは、いつかのゲイ友。マーコスの自宅のキッチンに素っ裸で座って、話し合う2人(写真)。マーコスは彼に、「次の時は、もう一人連れて来れるか? 若い奴だ」と訊く。「どのくらい?」。「うんと」。「いいよ」。恐らく、マーコスはヨハネスの代理を求めていたのであろう。幾らなんでも、仕事仲間の息子には手が出せないので。
  

次の週末、庭のあずまやで、妻が「一緒に出かけない?」とマーコスを誘う。「いや、ウチにいる。庭に水やりをしないと。クリストファーも、ビールを飲みに来るし」〔実際は、クリストファーの息子が来る〕。娘は最初、父と残ると言ったが、そんなことをされては困るので、「お母さんと行きなさい。今夜は遅くなる」と命じる。2人がいなくなってから、ヨハネス登場。「今日も、バーベキューなしだね?」。「どうして そう思うんだ?」。「エリザベスがいない。それとも、もう来るの?」。「呼ぶべきかな?」。「ううん。別にいいよ」(1枚目の写真)。何となく、下心を見透かしたような表情だ。「何をしたい?」。「魚に餌やり」。池の魚に餌をやり始めたヨハネスに、「今日は、いつ家に帰るんだい?」と訊く。「決まってない」。「もう少し、ここにいたい?」。「家まで乗せてくれるよね」。「喜んで」。そして、マーコスはそばに寄って来て、「マーコスと呼んでいいよ」と話しかける。しかし、ヨハネスは無反応。マーコスは、そんなヨハネスの金髪に触ろうと一瞬手を伸ばし(2枚目の写真)、気を取り直してやめる。
  
  

別な日、ヨハネスとマーコスが庭のベンチ・ブランコに座っている(1枚目の写真)。会話を交わした後、しばらく考えて、マーコスが「お願いがあるんだが」と言い出す。「何なの?」。「Tシャツを脱いでくれる?」。これには、さすがのヨハネスも何と答えるべきかししばらく考え、「何のために?」と訊く。返事は「頼むよ」だけ。その後の、複雑なヨハネスの心境(2~4枚目の写真)。そして、最後に思いきってTシャツを脱ぐ。探るような目付きが面白い(5枚目の写真)
  
  
  
  
  

夏休みも終わりに近づいた頃。4度目のヨハネス来訪。庭のクッションで横になっている。「学校は楽しみ?」と訊かれ、「ぜんぜん」。「クラスには、女の子多いんだろ?」。「半々だよ」。「ガールフレンドは?」。「いない」。「キスしたことは?」。「どうして 知りたいの?」。片目を少し閉じた不審げな顔つきが可愛い(1枚目の写真)。その後、少しじゃれ合って、クッションに横になったヨハネス。我慢できなくなったマーコスが、首にキスしてしまう(2枚目の写真)。これが、映画の中で唯一危険なシーン。ヨハネスは、すぐさま、「何するの!」と両手で跳ね除ける(3枚目の写真)。しかし、その後マーコスが、今度は胴に手を置いても拒否はしなかった(4枚目の写真)。
  
  
  
  

別な日、お互いに水を掛け合って遊んだ〔多分〕ため、濡れたヨハネスの髪をマーコスがタオルで拭いている。それが済むと、今度はヨハネスがマーコスの頭からタオルを被せる(1枚目の写真)。ふざけ合っている感じだ。「ここで一晩 泊まらないか?」と誘われ、「今夜は ダメ」。「じゃあ、何か食べ物を作ろう」。その頃、自宅では、エリザベスの母が「ただの お遊びよ」と言って、天井から下げた縄に首を入れていた。テーブルで食事をするヨハネスとマーコス(2枚目の写真)。「好きだよ、ヨハネス」とマーコスが言うと、さほど嬉しそうな顔じゃなく、「僕もだよ」と答えるヨハネス。ここでマーコスが重要なことを言う。「何か必要になったら、それが何でも、いつでも来なさい」。「ありがとう」。「お金でも いいんだ」。「お金なんか いらない」。その後、ヨハネスは、「昨日、エリザベスと会ったよ。話したよ。僕らが、会ってるって」。こわばるマーコスの顔。その反応を見ていて、「冗談だよ。安心して」と笑うヨハネス(3枚目の写真)。これは、ヨハネスが、マーコスの反応を見るために仕掛けた悪戯だった。
  
  
  

家に戻ったマーコスが、玄関のドアを開けて直面したのが、縄に首を入れた妻(写真)。「何の真似だ?」。「あと一歩で、飛ぶわよ」。普通なら、駆け寄るとか、声をかけるとか、するだろうが、マーコスは睨みつけると、ドアをバタンと閉めて出て行ってしまった。母は、何も言わず、負けを認め、自ら首を外した。完全に冷え切った夫婦の姿がそこにある。
  

クリストフアーが、息子を連れて、マーコスの庭園で母娘に会いに来た。マーコスがいないので自分だけ帰ろうとするが、その前に、マーコスの妻から意外な話を聞かされた。エリザベスは来年からイギリスに留学するが、多額の費用は、娘が赤ん坊の時、投資した株が成功し十分な資金があるからという話だ(1枚目の写真)。自分が困っている時に金を出し渋ったくせに、お金は豊富にあるのだ。この話を、近くにいたヨハネスが聞いた可能性はある。父から鬱憤晴らしに聞かされたのかもしれない。ヨハネスは、エリザベスに「君のパパは、どこ?」と訊く。「あなたに、関係があるの?」。「とっても」(2枚目の写真)。それでも、彼女は知らん振り。感じがいいとは、とても言えない。
  
  

マーコスの自宅に、ゲイ友が、約束通りもう1人連れてやって来る。小太りで、髭も生え、どうみても「とても若い」というマーコスの希望とは合致しない。「何歳?」と訊かれ、「22」と答える。30には見える。がっかりしたマーコス。その後、プレイの途中で、気が乗らなくて、「悪い」といい、2人を帰す(写真)。これで、望みはヨハネスしかいなくなった。
  

マーコスがヨハネスと密会する日。約束の時間を過ぎてもヨハネスが現れない。イライラしてベンチ・ブランコを蹴飛ばす。そこにようやくヨハネスが現れる。来るなり無言でガーデン・チュアに座るヨハネス。サングラスもかけている。生意気な雰囲気だ。「1時間、遅刻だぞ。10回も呼び出したんだ。ワザと困らせてるのか?」。そして、「もしそうなら、二度と来るな。出てけ!」と本で出口を指す(1枚目の写真)。許してもらおうと、Tシャツを脱ぐヨハネス。それでもマーコスの怒りは収まらない。「みんなが私を 家で待ってるんだ。時間がない」。「ごめんなさい」。「もういい」と去ろうとする。それを、「お願い」と言ってとめる。その姿を見て、マーコスは、家で待っている家族は無視することにする。
  
  

別な日、マーコスとヨハネスが、ホースで水を掛け合って遊んでいる(1枚目の写真)。「お父さんには、どこにいるって話した?」。「友達のダニエルの家で1泊するって。それで、奥さんには?」。「仕事で1泊旅行すると」。さらに、「君は、来ないんじゃないか思ってた」。「ちゃんと来たよ」。上半身裸同士になった2人が、あずまやの中で親しげに話し合っている(2枚目の写真)。カメラはどんどんパンしていき、画面からは2人の声しか聞こえてこない。「今夜は 何がしたい?」。「今日は、疲れちゃった。眠りたいだけ」。「まだ 明るいぞ。何をして遊びたい?」。「何 持ってるの?」。「モノポリー」。「あんまり…」。「じゃあ、楽にしてるといい」。「外で寝るの、中で寝るの?」。「どこで寝たい?」。「どこで寝るの?」。「ここで寝るよ。中で」。「じゃあ、僕も中で寝る」。ここで、会話は終了する。思わせぶりだか、結局は、何一つ変なことは起きなかったと思う。
  
  

その何日か後、突然、ヨハネスがマーコスの自宅を訪れる(1枚目の写真)。出てきた母は、「今日は、ヨハネス。エリザベスはいないわ」と笑顔で言うが、ヨハネスが「エリザベスとは話したくない。あなたの夫と話したい」と答えると、顔がこわばる。「今は、建設現場にいるわ。何が望みなの?」。「ここに来たって伝えて」。いきなり、子供から、「ラーセンさん」ではなく「あなたの夫」と言われれば、違和感を覚えるのは当然だろう。ヨハネスはその後、友達の家に行く。一通り話が済んでから、「他のこと、話さないか?」とヨハネスが言う。「誰にも言わない?」。「誓うよ」。「計画があるんだ」。「どんな?」。「ラーセンを脅してやる。父親の方だ」(2枚目の写真)。これで、ヨハネスが、これまで何度もマーコスに会っていたのは、脅すたの材料集めだったことが分かる。
  
  

庭でマーコスが水やりをしていると、妻が、「クリストファーの子が、今日、あなたを探してた」と話しかける(1枚目の写真)。「どこで?」。「家の方。話したがってたわ」。「理由を言った?」。「いいえ。来たことを伝えて欲しいって」。そして、妻は家に戻る。しばらくして、ヨハネスが現れる。「君は、家に行っちゃいけないんだ。絶対に」。「なぜさ?」。「私たちが友達だなんて、2人には理解できない」。「だけど、友達以上だろ」。「相棒だし、仲良しだが、それだけだ」。「もう、興味なくなったの?」(2枚目の写真)。「そう単純じゃないんだ」。「僕が、小さ過ぎるから?」。「そうだ、小さいんだ!」。「12だよ!」。「分かってる」。「愛してるのに。匂いも好きだ。お願い。秘密にするから」。そして、追い出されそうになって、「短パンも脱ぐから」(3枚目の写真)。すべて拒絶され、ヨハネスは、「放っとけよ、マスでもかいてろ」と捨て台詞を残して去って行く。
  
  
  

そして、遂に爆弾は落ちた。自宅のドアをノックする音。エリザベスが開けると、そこにはヨハネスが。「君のパパと話せる?」。「ええ」。そして中に入り、テーブルに座り込むと、少しニヤリとした顔で、いきなり「やあ、マーコス」と呼びかける(1枚目の写真)。母子の前で、夫をファーストネームで呼び捨てにしたのだ。どぎまぎするマーコス。「何の用だ?」。「『何か必要になったら、それが何でも、いつでも来なさい』、と言ったよね」。「荷物を置いて。外で話そう」。「いやだ。ここで話したい」。「望みは?」。「15万ユーロ」〔父が必要だった148000ユーロとほぼ同額〕(2枚目の写真)。「バカげてる」。「2人に 話したっていいんだ、あんたが どうキスしたとか」(3枚目の写真)。「エリザベス、部屋に行きなさい」。「それとも、僕の前で裸になったこととか」。「クリスティーン、事実じゃない」〔妻の名〕。「僕を どう抱いたとか」(4枚目の写真)。「僕が どう出血したとか」。あまりの嘘に、ヨハネスをひっぱたく。ヨハネスは父に電話をかけ、あと1時間したら帰宅すると述べる。そして、1時間以内にお金を渡せとマーコスに要求する。呆然として家を出て行くマーコス。銀行に向かったのかどうかは定かではない。エリザベスの目はショックで虚ろだ。
  
  
  
  

家に残された3人。妻が問い詰める。「いつから続いてるの?」。「夏休みから」(1枚目の写真)。「どこで会ったの?」。「あずまやで」。「どのくらい?」。「何度も」。「私たちを破滅させるのね。何て 嫌な子なの。嘘つき。証明できる?」。「コンドームは、コーヒー缶の中」。「それから?」。「マーコスは全身、毛むくじゃら」。思わず顔を背ける妻。「エリザベス、行きなさい。部屋へ。今すぐ」。だが、そのまま居続けるエリザベス。「それで、どうするの? 15万もらったら、それからは? 二度と現れない?」。「そうはどうかな」。その頃、エリザベスは、キッチンに置いてあった大きな包丁を手に取っていた。ヨハネスが、携帯を見ながら、「もうすぐタイム・オーバーだ」と言う(2枚目の写真)。妻:「時間は守る人よ」。背後からエリザベスが迫る。ヨハネス:「あと10分だ」(3枚目の写真)。エリザベスが包丁を振りかざし(4枚目の写真)、振り下ろしかけた瞬間、暗転して映画は終わる。恐らく、包丁はヨハネスを直撃したであろう。
  
  
  
  

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